このページでは履歴書の「健康状態欄」の正しい書き方について解説します。

健康状態欄は企業が応募者の心身の状態を確認し、入社後の業務遂行に支障がないか判断するための重要な記入欄です。

入社後に「話が違う」と言われないよう、現在の状況を正しく記入しなければなりません。病気や怪我などへの必要な配慮を明確にして、業務に支障がないことをアピールしましょう。

健康状態を書くときの基本ルールをおさえよう!

健康状態が良好な場合の健康状態欄記入例
持病がある場合の健康状態欄の記入例

特に大きな病気がなければ原則「良好」と書く

がんや心筋梗塞などの大きな病気、入院が必要な怪我の経験がなければ、健康状態欄には原則「良好」と書きましょう。

過去に入院や手術を経験した場合は既往歴として扱われますが、完治していて業務に支障が出ないなら書く必要はありません。

健康状態欄に書くべきなのは、あくまでも「現在の健康状態」です。今の時点で志望企業が求めている業務遂行力があるなら、健康状態は良好として扱われます。

既往症がある場合は記入する

持病の有無にかかわらず、仕事に支障がなければ「良好」と書いてOKですが、注意したいのが既往症です。過去に大きな病気や怪我の経験があれば、「既往歴」があることになります。

これらの既往症は、完治していれば「良好」扱いになると説明しましたが、再発のリスクがある場合は記入する必要があります。

例えば1年前、骨折で通院や手術を経験していれば、骨折は「既往症」として扱われます。今でも機能障害により通院を継続していたり、加齢で数年後に症状が出る可能性があったりする場合、健康状態欄で申告しましょう。

入社直後に症状が出た場合「症状を隠して入社した」と思われてしまいます。記入するか迷った場合は、治療を受けた医療機関に相談しましょう。医師から「申告の必要がある」と言われた場合は「経過観察のため通院中」といった記述が必要です。

定期的な通院における必要な配慮は明記

【例文】

・良好(業務に支障はありませんが、月に1度通院しています)

・業務に支障はありませんが、持病の定期検診で3ヶ月に一度、通院の必要があります

持病や既往症がある場合、通院のため公休日以外に定期的な休みを取ったり、早退したりする必要があるでしょう。その場合は、健康状態欄に「どう配慮してもらいたいのか」を明記することが大切です。

まずは「業務に支障が出ないよう勤務できる」ことをアピールします。その上で「通院のため3ヶ月に1度、半休の取得を希望いたしますが、業務に支障はありません」など、通院頻度と必要な配慮を明記しましょう。

業務に支障が出ないことと、会社側にどう配慮してもらいたいかを具体的に伝えると、納得してもらいやすいです。

履歴書を書く段階では、具体的な病名や症状を書かなくても良い場合もあります。そのときは通院状況だけ書き、面接で具体的な症状を質問されたタイミングで、詳細を伝えましょう。

【記入例】履歴書の良好以外の書き方

喘息がある場合

【記入例】

・喘息があるため、埃が多い環境以外での勤務を希望いたします

・勤務中は吸引器の使用を希望いたします

埃が多そうな勤務環境の場合や、勤務中に許可してもらいたい事柄があれば、必ず伝えることが大切です。

「喘息の症状が出やすい環境を避けたい」という意思、勤務中に常備する必要があるものは明記し、事前に配慮してもらいましょう。

腰痛やヘルニアがある場合

【記入例】

・腰痛があるため重い荷物を運ぶ業務は難しいですが、それ以外の業務は可能です

・ヘルニアのため速く走ることは難しいですが、通常の歩行は支障ありません

腰痛やヘルニアがあると、重労働やスピーディーな動きが難しいかもしれません。できない業務を明確にしつつ、それ以外の業務であればしっかり対応できることを伝えましょう。

うつ病や他精神疾患がある場合

【記入例】

・業務に支障はありませんが、精神疾患の定期観察とカウンセリングのため、月に1度平日の休暇取得を希望いたします

精神疾患の服薬のため、車の運転以外の業務を希望いたします

うつ病や精神疾患は完治しにくく、経過観察中の人が多い病気です。しかし重い症状から回復し、普通に日常生活を送れている状態であれば「良好」と書いて問題ありません。

定期的な通院が必要な場合は、ほかの病気や怪我と同じく、通院頻度と難しい業務を明記します。薬の服用で症状を抑えている事実については、わざわざ自分から伝える必要はありません。

もし面接官から服薬について聞かれた場合は、「服薬で症状は安定しているため、業務に支障はない」と伝えます。

薬の副作用で眠くなるといった症状がある場合も、通常の業務に支障がなければ「運転以外の業務は可能です」などと伝えましょう。

履歴書に健康状態を書く理由

企業の目線で考えると、履歴書に健康状態欄があることで、応募者が自社の業務を遂行できるか確認できるメリットを得られます。

応募者に持病や既往症があると、入社後に配属先や勤務地、業務内容に制限が生じる可能性があります。必要な配慮をあらかじめ把握できれば、応募者が入社後に体調を大きく崩して、業務が停滞する状態を防げるのです。

応募者としても、入社後に無理なく働き続けられる環境を見つけることがもっとも理想的です。双方がスムーズに業務を遂行できるよう、健康状態は正直に申告しましょう。

健康状態欄を「空欄にしない」のがポイント

健康状態欄を「空欄」にするのはNGです。空欄にしてしまうと、「隠したい病気があるのでは」と疑われて不利になります。実際に持病や既往症がある人は、「病気が原因で不採用になるかもしれない」と不安になりやすいものです。

しかし、企業が応募者の健康状態を理由に不採用とした場合、厚生労働省が定める「公正な採用選考の基本」に反します。

以下に、厚生労働省のサイトから「公正な採用選考の基本」の具体的な意味合いが明記されている箇所を引用します。

「応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないということです。そのため、応募者の適性・能力に関係のない事柄について、応募用紙に記入させたり、面接で質問することなどによって把握しないようにすることが重要です。これらの事項は採用基準としないつもりでも、把握すれば結果としてどうしても採否決定に影響を与えることになってしまい、就職差別につながるおそれがあります。」

引用:厚生労働省

つまり企業は「病気や怪我の状態」といった応募者の「適性・能力」と無関係の要素を理由に、不採用にはできません。応募者は健康状態欄に症状と状況をしっかり書いて、入社後に症状が出ても配慮してもらえるようにすることが大切です。

ただし業務に支障がないかがポイントのため、「必要な配慮さえあれば、業務を遂行できること」を説明できるようにしましょう。健康状態欄を正しく記入することが、応募者と企業双方にとっての円滑な業務遂行につながるのです。

厚生労働省が作成した最新の「履歴書様式例」には健康状態を記載する箇所はありません。健康状態の申告に不安がある人は、こちらの履歴書様式を使用するのも良いでしょう。

 

参考サイト

ハローワーク「履歴書の書き方」

厚生労働省「公正な採用選考の基本」

厚生労働省「履歴書様式例」

らくだ先生
健康状態欄の書き方ポイント
  • 履歴書の健康状態を空欄にするのはNG。現在の健康状態を正しく記入しよう!
  • 生活や業務に支障がない場合、履歴書の健康状態欄には「良好」と記入しよう!
  • 持病や既往症がある場合は「できない業務」と「それ以外は可能である旨」を明記し、通院頻度と必要な配慮を記入しよう!

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