この記事では、英文履歴書の書き方について解説しています。
英文履歴書は日本の履歴書を英訳して書くわけではありません。適切な項目に合った見出しや内容をわかりやすく簡潔にまとめる必要があります。
自分の強みやスキルを最大限に伝えられるよう、ポイントを押さえ、読みやすい履歴書に仕上げていきましょう。
英文履歴書・職務経歴書(レジュメ)とは?
英文履歴書は、履歴書と職務経歴書を合わせた形式のものです。
日本では「履歴書」と「職務経歴書」を分けて提出しますが、英文履歴書では2つの内容をA4用紙1枚にまとめ記入し、提出します。
英文履歴書は「レジュメ(RESUME)」や「CV(Curriculum Vitae)」とも呼ばれています。
どちらも職歴や学歴、スキルなどをまとめた文書で、企業に提出する応募書類です。日本では、どちらも同じ意味合いを持つため、あまり違いはありません。
しかし、米国とヨーロッパでは、レジュメとCVにおいて大きな意味の違いを持つので注意しましょう。
英文履歴書・職務経歴書(レジュメ)と日本語の履歴書・職務経歴書の違いは?
日本の「履歴書」は、氏名、住所、学歴、職歴、資格などのプロフィール情報を記載します。
また「職務経歴書」には詳しい職歴と実績やスキルなど、職務に関する内容を記入し、転職時には「履歴書」と「職務経歴書」の2枚をまとめて提出することが多いでしょう。
一方、英文履歴書では「履歴書」「職務経歴書」の区別がありません。
そのため、2つの内容を合わせ「レジュメ(CV)」として、1枚の書類にまとめます。
生年月日、年齢、性別、家族構成などの個人情報は、英文履歴書では不要です。仕事に関係のないことは省き、仕事に直結する内容だけを落とし込んでいきます。
英文履歴書にはテンプレートがなく、わかりやすく自分の強みが伝わる履歴書をオリジナルで作成するという点においても、日本の履歴書・職務経歴書と異なる点といえるでしょう。
英文履歴書・職務経歴書(レジュメ)の正しい書き方
出典:doda
PERSONAL INFORMATION(氏名・連絡先)
英文履歴書の冒頭には、氏名・連絡先の情報を中央に記載します。
「氏名」は他の情報よりも大きめのフォントで入れます。「連絡先」となる住所と電話番号は、日本語で書くときの順番とは異なり逆から書いていくので注意が必要です。
住所は、建物、部屋番号、番地、町、市区町村、都道府県、郵便番号の順で記載します。
「都府県」には「to」「fu」「ken」は不要なので、東京都の場合は「Tokyo」となります。
続いて「市区町村」にはハイフンを付けて、「-shi」「-ku」などと書くのが一般的です。よって、東京都渋谷区は「shibuya-ku Tokyo」となります。
OBJECTIVE (希望職種)
希望する職種やポジション、その理由を記載します。また希望している職種やポジションで具体的にどのように貢献できるのかを端的に書けるとより良いです。
志望動機ではないので、1~2行で簡潔に記載します。
この項目は必須項目ではないので、特にない場合は割愛しても問題ありません。
SUMMARY(経歴やスキルの要約)
SUMMARYは経歴の要約と合わせて、自分のスキルや職務経験を箇条書きで記載していきます。
一般的には4〜5つ程度でまとめます。ここではキャリアをアピールするのではなく、企業側が求めている人材であるということを示すような経験やスキルを具体的に書きます。
裏付けとなる数字やデータを記載することで、説得力を持たせることができます。
あくまで箇条書きでまとめるため、結果を踏まえ、どんなスキルがあるのか簡潔に書きましょう。
この項目も必須ではありません。QUALIFICATION(資格やスキル)、WORK EXPERIENCE(職歴)と内容が重複してしまうようであれば、カットしても良いでしょう。
WORK EXPERIENCE(職歴)
英文履歴書では、直近の職歴から遡って書いていきます。
会社名、所在地、勤務期間、職務内容、実績を具体的かつ簡潔に記載しましょう。
書き方は、「ポジション名」「会社名」「期間」の順に記載します。同じ会社の違う部署で働いた経験がある場合は、それぞれの部署での経験を別々に記載します。
業務において得た成果や受賞歴などは、「Achievements(実績)」という項目を設け、まとめると読みやすいでしょう。
売上高や目標達成率などは、数値的表現を用いて書くことで説得力が増すため、できるだけ数字を具体的に表記しましょう。
EDUCATION(学歴)
職歴同様、直近の学歴からスタートし、遡る形で学歴をまとめます。最終学歴が大学、専門学校、短期大学卒業以上なら、高校までの学歴は不要となります。
書き方は「学位」「学校名」「所在地」の順番で記述し、最後にカッコ書きで学位を取得した年を書きます。
QUALIFICATION/SPECIAL SKILLS(資格やスキル)
応募職種に関連する資格や、語学、IT関連の資格やスキルを箇条書きで記載します。
資格を書く際はシンプルに「資格名」と「資格取得日」を記載します。資格の説明は書く必要はありません。
ADDITIONAL INFORMATION(その他の特記事項)
その他、応募職種で働くうえでプラスになる情報を記載します。ボランティア経験やメディア掲載歴など、社会的な貢献に関することは積極的に記載するといいでしょう。
海外の企業では、ボランティアや地域のスポーツ活動などは高く評価される傾向にあります。
仕事に直接関わりのない内容だとしても、経験としてプラスに働くことがありますので、経験として記載するのがおすすめです。
英文履歴書・職務経歴書(レジュメ)の様式
用紙サイズ | A4 (白い用紙に印刷) |
枚数 | 1本(基本は1枚、職歴が長くとも2枚以内に収める) |
フォント | Arial 、Cambria、Calibr、iDidot など※フォントは読みやすさが重要なので、画面上で読みにくい極細字や細字のフォントは避ける |
フォントサイズ | 見出し:12〜14ポイント本文:10〜12ポイント |
フォントカラー | 黒(黒以外の色は使用しない) |
英文履歴書には決まった形式がありません。そのため、A4用紙1枚に先述した項目を見やすくまとめていきます。
シンプルで読みやすいフォントとサイズで、すっきりとしたレジュメにまとめることが、良い印象を与えるためのコツです。
まずフォントは、画面上で見た時に潰れたり文字化けしないものを選択します。
一般的に使われているのは、Arial・Cambria・Calibri・Didot・Garamond・Times New Roman・Helveticaなど、シンプルでビジネスに適したものを使用しましょう。
フォントサイズは、レイアウトによって異なりますが、10〜12ポイントが一般的です。10ポイント以下のサイズは小さすぎるため読みにくく、読み手の目の負担になるため避けます。
10ポイントでもテキストが枠内に収まりきらない場合は、不要な単語やフレーズを削除し、簡潔な文章になるよう内容の編集を行いましょう。
具体的には下記を意識することで、簡潔な内容になるでしょう。
・箇条書きでまとめる
・冗長な言葉(with、and、that、theなど)を削除する
・似たような項目は1つにまとめる
・直近10〜15年程度の経歴のみに焦点を当て記載する
・全ての職務を列挙するのではなく、最も大きな影響を与えた業務をピックアップして書き出す
英文履歴書全体のフォントは1種類で統一しますが、重要な部分はスタイルを変えたり、サイズを大きくするなどで読みやすさを強調することができます。
ただしスタイルの使用は統一し、1〜2種類程度に留めましょう。あくまでビジネス書類であるため、読みやすさを重視したデザインを心がけましょう。
英文履歴書・職務経歴書(レジュメ)で使われる定番形式
形式名 | 形式 | メリット |
Chronological Resume (クロノロジカル・レジュメ) | 年表形式学歴・職歴を時系列でまとめる | ・同じ職種や業種に応募する人におすすめ・経歴の一貫性をアピールしやすい |
Functional Resume (ファンクショナル・レジュメ) | 職能別形式業績やスキルを中心にまとめる | ・専門分野の知識やスキルをアピールできる |
Combination Resume (コンビネーション・レジュメ) | 組み合わせ形式(クロノロジカル+ファンクショナル)業績やスキルをまとめたあと、学歴・職歴を記載する | ・異なる業種や職種へ応募する人におすすめ・業務で得た知識や実績をアピールしやすい |
英文履歴書には決まった形式はないと先述しましたが、見本として使用されている形式がいくつかあります。
定番の形式をベースに、自分に合った内容にカスタマイズするのがおすすめです。
自分の強みをアピールできるフォーマットを使い、内容がわかりやすく読みやすいものになるようまとめていきましょう。
それぞれの特徴は下記です。
クロノジカル・レジュメ(年表形式)
出典:indeed
クロノロジカルレジュメは、年表形式で、最新の職務から古いものへと遡って記載していきます。英文履歴書の中では最も一般的な形式と言われています。
「職歴」を中心に「学歴」「自分の実績・スキル」という流れで書くことが多く、職歴が一貫している人におすすめです。
同じ業界に長年勤めている人や、業界内で着実にステップアップしている人、関連した近い分野の職種に応募する場合には、クロノロジカルレジュメを活用することで十分にアピールすることができるでしょう。
一般的に多く用いられている形式ですが、業績やスキルなど、自分がアピールしたいポイントを強調することが難しいです。
そのため、職歴にブランクがある場合やキャリアパスを変更する場合、転職回数が多い場合、仕事内容が職務により大きく異なる場合などは、コンビネーションレジュメなど自由度の高いレジュメを使用するのがおすすめです。
ファンクショナル・レジュメ(職能別形式)
出典:indeed
ファンクショナルレジュメは、職能別形式と言われ、経験や業績、スキルや資格に重点を置きまとめていきます。
先述したクロノロジカルレジュメが、これまでの「職歴」から経験やスキルをアピールするのに対し、ファンクショナルレジュメは「仕事に関連したスキル」を中心にアピールしていきます。
初めて就職する場合や長いブランクがある人、転職回数が多い人は、職歴よりも「スキル」や「今までの実績」を強調することができるので、ファンクショナルレジュメが適しているでしょう。
ただし、強調できるスキルは応募企業に関連したものに限定されるため、職歴にほとんどブランクがない場合は、コンビネーションレジュメの方が適している場合があります。
自分のスキルや経歴から、どの形式が適切であるかをしっかり判断するのが大切です。
コンビネーション・レジュメ(組み合わせ形式)
出典:indeed
コンビネーションレジュメは、クロノロジカルレジュメとファンクショナルレジュメを組み合わせた形式です。
自由度の高いレジュメと言われており、職歴と関連スキルの両方をバランスよくアピールすることができます。
職歴と関連スキルについてが主となるため、職務要約や趣味・関心事などのその他の項目は省略しても問題ありません。
また職歴とスキルを書く順番に関しても、特に決まりはないため、応募する仕事においてどちらが重要かを見極め、効果的な見せ方を優先して書きます。
例えば、応募先の企業にとって価値のあるスキルを数多く身に付けている場合は、職歴よりも先にスキルを記載することで、興味を持ってもらえる可能性が高まります。
一般的には、スキルを先に書き、続けて職歴・学歴を書くことが多いようです。
今までのスキルと応募先の企業の関連性が深い人はもちろん、過去の職歴と応募先の仕事との関連性が分かりにくい場合でも、アピールとなるスキルが明確にあるのであればコンビネーションレジュメが適しているといえるでしょう。
英文履歴書・職務経歴書(レジュメ)を書くときに押さえておくべきポイント
箇条書きで簡潔にまとめる
英文履歴書では、業務に直結する内容を端的に書いていきます。「応募先企業に対して、自分を売り込むための書類」をイメージすると良いでしょう。
自分を採用するメリットを的確に伝えるためにも、長文は避け、読みやすさを意識してまとめていきます。
箇条書きでポイントをまとめるので、何を伝えるべきなのかを明確にしてから、文章を作っていくのがおすすめです。
日本語の直訳をそのまま書かない
日本語の履歴書・職務経歴書をそのまま英訳してしまうと、読みづらいだけではなく、特徴が上手く伝わらない文章になってしまうことが多いです。
英文履歴書を書く際は、英語の履歴書らしい表現に徹したものが良いでしょう。
英文履歴書は前述した通り、箇条書きを使い、簡潔に文章をまとめていきます。
そのため、一人称の主語は省略し「動詞」や「名刺」から文を書き始めるのが基本です。
<記入例>
日本語:私は、2020年上半期に部署内販売成績の最高記録を達成しました。
英文訳:I attained the number one branch sales record in the first half of 2020.
レジュメ:Attained the number one branch sales record in the first half of 2020.
過去の経験や実績は過去形の動詞を使い、継続中のことを伝えるときには進行形の動詞を使います。また「a/the」などの冠詞は省略します。
採用担当者は、その人が何を達成したのか、何に貢献したのかをひと目で知りたいと考えています。余計なものは省き、シンプルに要点が伝わる文章を作成しましょう。
ただし、「同じ動詞を繰り返し使うこと」は避けます。
語彙力の無さや英語に対するスキルが未熟な印象を与えてしまう可能性があるので、動詞に変化を持たせるように意識して文章を作成することが大切です。
個人情報は書かない
日本の履歴書では必須となる、生年月日や年齢、性別、顔写真など、プライベートな事柄や差別につながる情報は書かないことが英文履歴書のルールです。
また英文履歴書は、基本的に仕事に直結する内容だけを記載する書類です。
そのため、「志望動機」や「前職の退職理由」なども英文履歴書においては不要です。
このような「志望動機」や「自己PR」「希望職種」など、自分の思いや考えを伝えるのは、併せて送付するカバーレターに記載するので、英文履歴書には記載しないよう注意しましょう。
<不要とされる項目>
・生年月日
・年齢
・性別
・顔写真(企業から指示がある場合のみ添付)
・配偶者、子供の有無
・家族構成
・通勤時間
・志望動機
・過去の年収・希望の年収(面接時に聞かれたら回答する)
学歴、職歴は直近の経験から書く
日本では、古いものから時系列で追っていくのが通常ですが、英文履歴書では最新のものから順に追っていきます。
つまり、直近の情報から書き始めるということです。日本の書き方と逆になるので、注意しましょう。
またそれぞれ記載する内容の順番も日本とは異なります。
例えば、日本では学歴を書く際、「〇〇大学 ▲▲学部 ◻️◻︎学科 卒業」となりますが、英文履歴書では「Bachelor of Sociology, 〇〇UNIVERSITY, Tokyo(2015)」となります。
各項目の書き方にも注意しながら、まとめていきましょう。
実績は数字で表す
具体的な数字を用いることで、実績をより具体的に伝えることができます。
漠然と今までの業務を書くよりも、数字を入れることで説得力も増します。
数値表現を積極的に用いて、誰にでも明確に伝わる一文を書いていきましょう。
英文履歴書・職務経歴書(レジュメ)を提出するときの注意点
英文履歴書提出時には「カバーレター」が必須
出典:doda
レジュメを郵送する際にはカバーレターを付けるのが一般的です。カバーレターとは、「添え状(送付状)」のような役割になります。
ただし、日本の添え状は送付内容を伝えるためのものですが、カバーレターは「英文履歴書の補足」をする役割があります。
英文履歴書には、志望動機や自己PRを書く欄がありません。そのため、このカバーレターにアピールポイントや熱意を記載します。
つまり、採用の可否に重要な要素を補う書類で、書類選考においても非常に重要視されます。
一般的にはカバーレターに先に目を通すことが多く、英文履歴書に読み進めるかどうかを決める大事な書類になります。
カバーレターだからと手を抜かず、丁寧に仕上げましょう。
メールで送る場合はファイル形式の確認をする
英文履歴書をメールで送る場合は、企業に指定された方法に従います。大体はファイル形式が指定されるので、指定された形式に変換し提出します。
稀にファイル形式の指定がない場合がありますが、その場合は「PDF形式」で送るのが無難でしょう。データの書き換えや文字化け、レイアウト崩れを防ぐことができます。
またファイル形式だけではなく、メールの件名が指定されている場合もあるので、応募要項を確認し、正しく送信しましょう。
おすすめは内容を推敲し、自分にテストメールを送ること。送信したメールが受信者にどう見えるかを把握し、間違いがないか確認します。
またテストメールの添付ファイルをダウンロードし、正しいファイルが添付されているか、文字化けなど不具合が生じていないかも確認した上で、最終的な履歴書メールを採用担当者に送るようにしましょう。
- 英文履歴書は箇条書きを使い、シンプルで読みやすい内容にまとめよう!
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英文履歴書は定番のテンプレートから自分に合ったものを選び、強みが伝わるようにカスタマイズして使おう!
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英文履歴書を提出するときには、カバーレターを付けるのがマナー!
<記入例>
◆住所
〒100-0000
東京都 中央区 日本橋 123 (○○ビル)
⇒(○○Building) 123 Nihonbashi Chuo-ku Tokyo 100-0000
◆電話番号
国番号「+81」+市外局番の最初の「0」を除いた電話番号で記載します。
固定電話:03-XXXX-XXXX
⇒ (+81)-3-XXXX-XXXX
携帯電話:090-XXXX-XXXX
⇒ (+81)-90-XXXX-XXXX