就職活動で企業に提出することになる履歴書ですが、選考の最初の段階で企業側に第一印象を与えるため、言い回しなどに十分に注意して記載します。

本記事では、間違いやすい「在学中」「卒業見込み」「卒業予定」の違いから、学歴欄全体の記入方法やその例、履歴書と合わせて提出が求められる場合がある卒業証明書の取得方法や注意点まで解説しています。

細かい部分に注意して正確な情報を記載し、その後に選考に繋がる履歴書を作成しましょう。

就活の履歴書に「在学中」は不適切?

現在大学に通っていることを表す「在学中」は、就職活動では使用できません。就職活動において提出する履歴書は、大学を卒業し応募先の企業で会社員として働くことを見据えて書くことを前提としています。そのため、「在学中」は不適切な表現となります。

就活の履歴書の学歴欄で「在学中」の代わりに使うのは、「卒業見込み」です。これは、卒業のために定められた単位を取得し、入社日までに卒業できる状態を示しています。

この他にも「卒業予定」という表現があり、どれを書くべきか迷ってしまう就活生も多いでしょう。似た意味を持つ「在学中」「卒業見込み」「卒業予定」の3つの違いを正しく理解し、適切に履歴書に記載しましょう。

在学中・卒業見込み・卒業予定の違い

「在学中」はインターンやアルバイトで使用する

「在学中」を使用できるのは、主にアルバイトや大学1・2年生で参加するインターンシップの履歴書に記入する場合です。

学生として大学に在籍していて、今後もしばらくの間、学生を続ける予定である場合「在学中」を使用します。そのため、卒業後の進路として就職活動をしている就活生は使用できません。

また、現在継続していることを示す「現在に至る」は職歴でしか使用できません。誤って学歴欄には書かないように注意しましょう。

「卒業見込み」は就活の本選考で使用する

大学に在学中の学生が新卒で就職活動を行なう場合は、「卒業見込み」を使用します。

「卒業見込み」は卒業のための必修単位を3年生までにほとんど取得しており、留年する可能性が少ない場合に使用することができます。履歴書提出時に必修単位が不足していても、4年生秋学期までに取得できる見込みがある場合は「卒業見込み」と書いて問題ありません。

逆に、応募する3年生の時点で、4年生への進級に必要な単位の取得が不足している場合やその先の卒業が危ぶまれる場合など、留年する可能性が高い場合には「卒業見込み」と記載することはできません。大学1・2年生と同じように「在学中」を使用しましょう。

「卒業予定」は基本的には使用しない

「卒業予定」は、「卒業の見通しは立ったけれどまだ確定ではない」というニュアンスを含んだ表現です。入社のために必要な条件である大学卒業が確実ではないという印象を与えるため、新卒就活では使用しません。

せっかく内定を出した学生が大学を卒業できなければ内定辞退することになり、企業にとっても損失となります。企業に不安を与えないためにも、少しでも確実な「卒業見込み」を使うようにします。

履歴書の学歴欄の書き方

年月の表現は揃える

入学・卒業年度などの年月は「西暦」もしくは「和暦」で統一しましょう。

「西暦」「和暦」はどちらで書いても問題ありませんが、履歴書にあらかじめ印字されている年月日の記載に合わせるのが確実です。

また、和暦で記載する際には元号を「H」や「R」で省略せず、「平成」や「令和」など正式名称で書きます。履歴書は横書きが多いため、算用数字で記載することも忘れないでください。

高校の卒業年月から書き始める

履歴書の学歴欄は、義務教育である小・中学校を除き、高校を卒業した年月から記載する場合が多いです。

ごく稀に小学校や中学校からの学歴を求められる場合もあり、企業側の指示があった場合はそちらに従いましょう。一般的には高校卒業時からの年月日からで問題ありません。

迷った場合は、学歴欄に学歴が書き切れるかで判断しても良いでしょう。

学校名は正式名称で記載する

学校名は省略せず、必ず正式名称で記載します。特に間違いやすいのが「高等学校」を「高校」と略したまま記載するパターンです。卒業した学校であっても一度インターネットで正式名称を確認してから書くようにしましょう。

また、学校名だけでなく「〇〇県立」「私立」など学校の形態に関しての記載も忘れないようにします。

さらに、学校名が変更となった場合は、「在籍時の旧学校名(変更後の学校名)」のように新旧どちらも記載するのが一般的です。

大学院は「修了」と記載する

「卒業」はその学校の全課程を学び終えること、「修了」は学業など一定の課程を終えることを指します。

そのため、修士課程と博士課程、さらに博士前期課程と博士後期課程に分かれている大学院には「修了」を用います。

大学は高等教育の最終段階とみなされており、大学卒業は「高等教育の全課程を学び終えた」という意味があります。よって「卒業」が適しています。

留年・休学・中退も正しく記載する

留年や休学、中退はネガティブなイメージを与えるのでは?と不安になり、書くことを躊躇する人も多いですが、隠さず正確に記載しましょう。

特に留学や家庭の事情、体調不良などの致し方ない理由がある場合は、括弧書きで添えるようにしましょう。

また、履歴書に理由を書かなかった場合でも、面接で聞かれることがほとんどでしょう。聞かれた時はどのように答えるかを事前に考えておくことが必須です。

留学経験は英語記載でもOK

1年以上の留学経験がある場合は、年月と詳細な内容までをできるだけ具体的に記載します。

留学先の大学やコースは日本語で説明するのが難しい場合もあり、正式な大学・コース名を書くために英語での記載も認められるでしょう。しかし、一目で分かりやすく伝えるためにも、できるだけ日本語表記で書けるよう心がけます。

特に留学を記載する場合に重要視されるのが「留学期間」です。企業側はどのくらいの期間の留学なのかに重きをおいている場合も多く、正確に記載することが求められます。

履歴書に記入する最終学歴とは?

最終学歴は「教育水準の高さ」で決まる

<教育水準が高い順>

➀大学院

➁大学

➂高等専門学校・専門学校・短期大学

➃高等学校

履歴書に記載する最終学歴は「最後に通っていた学校」ではなく、「今まで通った中で教育水準が最も高い学校」になります。

例えば、高校卒業後に大学に進学し、その後に専門学校に進学して卒業見込みである人の場合、最終学歴は大学になります。専門学校よりも大学の方が教育水準が高いためです。

同様に、大学卒業後に大学院を修了し、その後に再度大学に入学して卒業見込みの場合も、最終学歴は大学院となります。

ただし、高等専門学校と専門学校、短期大学は同等の教育水準とされ、これらの学校を複数卒業している場合は直近で通っていた学校を最終学歴とします。

履歴書に書くことのできない学校もある

履歴書に書くことのできる学校は、文部科学省に認可を受けた学校法人のみです。

名前に「専門学校」と入っている学校でも、学校法人として認可を受けている「専修学校」と認可を受けていない学校が混在しており、認可を受けていない学校に通っていた場合は学歴として履歴書に記載することができません。

私立の専門学校は特に注意が必要なため、学校の正式名称を調べると同時に、認可を受けているかを必ず確認するようにしましょう。

最終学歴の書き方の例7選

大学在学中の場合

記入例

令和〇年〇月 ●●県立●●高等学校●●科 卒業

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 入学

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 卒業見込み

高校卒業後に大学に進学し、卒業する予定である一般的な新卒就活生のパターンです。前述の通り、高校卒業から学歴の記載を始めること、「在学中」ではなく「卒業見込み」を使用します。

期間や大学名などは、誤解を与えないためにも正確に記載しましょう。

大学院在学中の場合

記入例

令和〇年〇月 ●●県立●●高等学校●●科 卒業

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 入学

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 卒業

令和〇年〇月 △△大学 △△学研究科△△専攻 修士課程入学

令和〇年〇月 △△大学 △△学研究科△△専攻 修士課程見込み

大学院在学中の場合、大学は「卒業」、大学院は「修了」を使うことを忘れないでください。

また、大学院は修士課程と博士課程に分かれており、学歴欄に記入する際も行を分けて記載するようにしましょう。それぞれに「入学」・「修了」を記載します。

大学在学中に休学した場合

記入例

令和〇年〇月 ●●県立●●高等学校●●科 卒業

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 入学

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 休学

(体調不良により入院していたため)

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 復学

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 卒業見込み

休学した場合、「休学」と「復学」をしっかり記載します。休学にやむを得ない理由や合理的な理由がある場合は、括弧書きで伝えるようにしましょう。

具体的には、家庭の事情や経済事情、勉強・ボランティア・長期インターンへの専念などであれば履歴書に書くことができます。

大学中退の場合

記入例

令和〇年〇月 ●●県立●●高等学校●●科 卒業

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 入学

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 中途退学

(体調不良による治療のため)

大学を何らかの理由で中退した場合、省略せずに「中途退学」と記載します。

休学と同様に、やむを得ない理由や合理的な理由がある場合は括弧書きにし、中退の理由や心境などを面接で伝えられるように準備しておきましょう。

大学を転部した場合

記入例

令和〇年〇月 ●●県立●●高等学校●●科 卒業

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 入学

令和〇年〇月 △△大学✕✕学部✕✕学科 転学部

令和〇年〇月 △△大学✕✕学部✕✕学科 卒業見込み

転部に関しては理由を記載する必要はありません。理由が無くとも、学びたい内容が変わったことを企業側も読み取ることができるからです。

ただし、転部の理由やその決断に至った経緯を面接で質問されることが予想されます。自分の言葉で事前にまとめておきましょう。

大学在学中に留学をした場合

記入例

令和〇年〇月 ●●県立●●高等学校●●科 卒業

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 入学

令和〇年〇月から令和〇年〇月 ✕✕(国名)✕✕大学✕✕学部✕✕学科 留学

令和〇年〇月 △△大学△△学部△△学科 卒業見込み

大学在学中に留学した場合は、期間・国名・学校名を記載します。ただし、履歴書の学歴欄に記載できるのは、1年以上の留学のみです。

1年未満の留学は学歴欄には記載できないため、自己PRなど他の欄に書きます。慣れない海外での生活経験や、学んだ語学力は十分なアピールになるでしょう。

留年・浪人した場合

記入例

令和2年3月 ●●県立●●高等学校●●科 卒業

令和3年4月 △△大学△△学部△△学科 入学

令和7年3月 △△大学△△学部△△学科 卒業見込み

留年や浪人をした場合は、年月を正確に書いておけば企業側に理解してもらえるでしょう。「留年」や「浪人」などの言葉は出さないようにします。

履歴書に留年・浪人の理由を記載する必要はありませんが、面接で聞かれることが予想されます。どのように答えるのかを事前に準備しておく必要があります。

履歴書と合わせて「卒業証明書」を求められた場合は?

履歴書と合わせて、学校を卒業したことを示す「卒業証明書」や、何年何月に卒業できそうかを示す「卒業見込証明書」、在学中の取得単位や成績などを示す「成績証明書」などの提出を企業から求められる場合があります。

提出期日内に提出する必要があり、期限を過ぎてしまうと自らの印象を下げることになります。就活中の書類提出は社会人に必須である基本的な事務能力を確認しており、選考の一部であると心しておきましょう。

大学によっては取得に時間がかかる場合もあるため、「いつまでに何を提出するのか」を明確に、自己管理をすることが大切です。

卒業証明書を取得する方法

卒業証明書などの書類を取得する方法は主に2つです。

1つ目は大学のキャリアセンターや学部事務室などに設置されている機械で自分で発行する方法、2つ目は窓口で大学の職員に申請する方法です。

規模の大きい大学であれば機械を設置している場合が多く、事前にインターネットなどで調べて確認するようにしましょう。また大学によって取得方法が異なるため、取得方法については必ずご自身で確認してください。

卒業証明書を取得する時の注意点

最終学歴の学校で発行する

卒業証明書は、最終学歴となっている学校で取得します。

前述した通り、最終学歴となるのは、「最後に通っていた学校」ではなく、「今まで通った中で教育水準が最も高い学校」です。卒業してから年月が経っていることも考えられるため、余裕をもって早めに申請し取得するようにしましょう。

卒業証明書は3か月~6か月以内に取得したものを提出する

卒業証明書には基本的に有効期限がありません。しかし、発行日から半年以上経った証明書を提出するのはマナー的に好まれず、古い証明書には不備や変更がある場合も多いため、避けた方が無難です。新たに取り直し、3か月~6ヶ月以内に取得した未使用の証明書を提出するようにしましょう。

稀に発行日からの有効期限が定められている場合があるため、確認が必要です。提出が必要と分かった時点で新しい証明書の取得に向けて動き出しましょう。

卒業証明書を提出する方法

郵送で卒業証明書を取り寄せた場合、封筒に入った状態で届くことが多く、この封筒に「開封無効」「開封厳禁」などの記載がある場合は封筒を開封してはいけません。封筒のまま、企業に提出しましょう。

逆に、記載のない封筒に入っている場合はそのまま取り出し、企業に送付する書類と同封します。

卒業証明書は原本提出が必須であることが大半です。取得だけでなく提出方法にも注意しましょう。

就活の履歴書では「卒業見込み」を使おう!

履歴書の学歴欄で使用できるのは「在学中」「卒業見込み」の2つです。似た意味を持つ言葉ですが、履歴書においては明確な使い分けが必要です。新卒就職活動中に提出する履歴書においては「卒業見込み」が正しい表記となるため、間違った記載をしないよう注意しましょう。

また学歴欄を書く場合には、年月日の統一や学校名の正式名称の記載、留学・休学などの書き方など、気をつけるべきマナーが複数存在します。就職活動では言葉の言い回しや提出期日の遵守、マナーを身につけているかどうかなど、あらゆる点において企業に確認されています。

履歴書の内容だけに気を配るのではなく、書き方やマナーについても理解し、丁寧に対応することで良い印象を与えられるよう心がけましょう。

らくだ先生
 
履歴書の学歴欄の書き方ポイント
  • 新卒就活の履歴書の学歴欄は「卒業見込み」が最適
  • 入学・卒業年月は誤解を防ぐために正しく記載する
  • 最終学歴を決める際は教育水準の高さを基準にする
  • 卒業証明書は最終学歴になっている学校で取得する

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