履歴書にある「通勤時間」の項目では、自宅を出発してから勤務先に着くまでの片道にかかる時間を書くのが基本です。
しかし、電車やバスを乗り継ぐパターンや、入社前後に引っ越しを予定しているケース、さらにはテレワークが主体の職種など、どのように記入すべきか判断しづらい場面も多いでしょう。
この記事では、通勤時間の正しい書き方をはじめとして、自動車・自転車・徒歩など移動手段ごとの記載例をわかりやすくまとめています。
迷いやすいケースでの書き方や、採用側が通勤時間欄でチェックしている観点にも触れていますので、ぜひ参考にしてみましょう。
履歴書の通勤時間とは?

履歴書に設けられた通勤時間の記入欄には、自宅のドアを出てから勤務先へ到着するまでの「片道の合計所要時間」を書き込みます。
公共交通機関に乗車している間だけを指すのではなく、徒歩での移動時間や待機時間なども含めて計算するのがルールです。
この欄を通じて採用担当者がチェックしているのは、「無理なく勤続できるか」という点に加え「会社が支払う交通費が予算の枠内に収まるか」といったポイントです。
一般的に、片道90分以内であれば合否判定に直接的な影響を及ぼすことはありません。それ以上の距離になる場合は、健康面や経費面でマイナスに捉えられる可能性があります。
また、少しでも印象を良くしたいからといって実際よりも短く申告するのは厳禁です。事実と食い違う内容を記載すると、採用後に問題が生じたり信用を失ったりするリスクがあります。現実的な通勤時間をそのまま正直に記入することを心がけましょう。
履歴書に書く通勤時間の正しい計算方法

通勤時間は「片道の所要時間」を記載する
通勤時間の欄に書くのは、行き帰りの合計ではなく「片道にかかる時間」です。自宅の玄関を出てから職場に到着するまでの徒歩移動や乗り換えの待ち時間もすべて含めた、いわゆる「ドア・ツー・ドア」で計算する必要があります。
利用できるルートが複数存在する場合は、最も早く着ける経路を選ぶのが基本です。企業の採用担当者は「毎日の通勤が現実的に続けられるか」という視点で確認しているため、実情に合った正確な時間を記載する必要があります。
交通手段を書く欄が設けられていない履歴書の場合は、時間の横に「(電車)」などと補記しておくと丁寧です。車で通勤する場合は「自家用車」という正式な表記を使いましょう。
あわせて、そもそもマイカーでの通勤が許可されているかどうかを、募集要項や社内規定であらかじめチェックしておくことも忘れないようにしましょう。
時間は5分単位で計算する
履歴書に通勤時間を書く際には、5分単位に丸めて表記するのが一般的なマナーです。分単位の細かな数値を正確に記す必要はなく、端数が出た場合は四捨五入で調整して問題ありません。
例えば、実際にかかる時間が32分なら「約0時間30分」、44分なら「約0時間45分」というように、5分きざみのキリのよい数値に合わせます。あまりに細かく記載すると神経質な印象を与えかねず、逆に大ざっぱすぎる書き方もマイナスに映ります。
なお、片道の所要時間が60分未満のケースでも、時間の欄には「0」を忘れずに入れましょう。例えば、30分であれば「0時間30分」と明記します。時間の部分を空白のままにしてしまうと、記入漏れだと誤解される可能性があるため注意が必要です。
複数経路がある場合は「最短経路」を記載する
自宅から勤務先へ向かう手段が複数存在する場合は、もっとも短い時間で到着できる経路を基準に通勤時間を算出します。
自宅のドアを出てから職場に到着するまでのトータル時間をそれぞれ比べ、より早く着ける方を採用するのが基本的な考え方です。
ただし、特急券や新幹線、高速道路の利用など別途料金が必要になる手段は、計算の対象から外すのが一般的です。多くの会社ではこうした追加費用を交通費として支給していないため、上乗せ料金のかからない標準的なルートで所要時間を割り出すようにしましょう。
また、複数の手段を比較しても時間的な差がほとんど見られない場合は、運行の安定度を重視して選ぶのがおすすめです。
特に、電車は時刻どおりに運行されやすい傾向があるため、どれを記載するか迷った際は、定時性に優れた電車のルートを選ぶと良いでしょう。
経路を調べる際は出社時間に合わせる
通勤経路を検索する際は、実際の出社時刻に合わせて調べることが大切です。早朝や深夜と、通勤ラッシュの時間帯では、電車の本数や道路の混雑具合が大きく異なります。
特に、バスや車通勤の場合、朝のラッシュ時には想定以上の時間がかかることも珍しくありません。始業時間から逆算して、安定して到着できる時間帯でシミュレーションを行いましょう。
もし混雑による遅延が常態化している路線であれば、その分の余裕を含めた時間を記載しておくと、入社後の遅刻トラブルを未然に防ぐことができます。
【ケース別】履歴書の通勤時間の記載例

徒歩で通勤する場合

徒歩のみで職場へ向かうケースでは、所要時間を5分刻みに丸めて記入します。全行程を歩いて移動するため、交通手段についてわざわざ注記しなくても問題ありませんが、欄にスペースの余裕があれば「(徒歩)」と補足しておくと好印象です。
例えば、自宅から会社まで歩いて15分ほどであれば、「約0時間15分(徒歩)」と書くのが望ましい形です。徒歩での通勤はダイヤの乱れといったリスクがなく、時間のずれが生じにくいため、実測に基づいた正確な所要時間をそのまま記載しましょう。
また、勤務先がごく近距離にあり所要時間が5分未満になる場合でも、「約0時間5分」と端数を切り上げてキリのよい数値で記入するのが一般的なルールです。
自転車で通勤する場合

自転車で職場まで通う場合も、片道にかかる時間を5分刻みで履歴書に記入します。交通手段が一目でわかるように「(自転車)」と添え書きしておくと、担当者が通勤の実態をイメージしやすくなるでしょう。
例えば、自宅から勤務先まで自転車で約20分の距離であれば、「約0時間20分(自転車)」と記載するのが望ましい書き方です。
ただし、自転車での通勤を認めているかどうかは会社ごとの就業ルールによって異なるため注意が必要です。志望先が自転車通勤を許可しているか、募集要項や問い合わせで前もって確認しておきましょう。
自転車通勤の場合、天候が悪い日には所要時間が前後することもあります。しかし、履歴書には晴れた日など平常時の所要時間を記載すれば問題ありません。
最短の経路を基準にしつつ、道路の混雑や信号待ちなどの時間も加味してやや余裕を持った数字を書きましょう。
バス・電車で通勤する場合

バスや電車を利用して通勤する場合は、自宅から職場までのトータルの移動時間を算出し、「電車」「バス」などの交通手段もあわせて記載します。
例えば、最寄り駅まで徒歩5分、電車10分、駅から会社まで徒歩5分なら「約0時間20分(電車)」と記入できます。バスも併用する場合は「(バス・電車)」と両方書いて伝えましょう。
「電車」と明記すれば徒歩区間も含めた所要時間と認識されますが、備考欄にスペースがあれば「徒歩○分+電車○分」と内訳を補足しても問題ありません。
バスと電車では運行ダイヤによって所要時間が変動しやすいため、実際の出勤時間帯で乗換検索を行った結果を記入するのがおすすめです。
車・バイクで通勤する場合

車やバイク通勤の場合は、「自家用車」「原動機付き自転車」など正式名称で交通手段を添えて記載します。
例えば、自動車で片道45分なら「約0時間45分(自家用車)」、原付バイクで30分なら「約0時間30分(原動機付き自転車)」と書きます。車通勤は時間帯による渋滞の影響が大きいため、朝の出勤時間帯で実際にかかる時間を調べておくことが重要です。
また、会社によってはマイカー通勤を禁止・制限している場合もあるため、応募要項で車通勤の可否を確認しましょう。
許可されている場合でも、交通費の支給上限から高速代は自己負担になるケースがあります。そのため、履歴書上の通勤時間は有料道路を使わないルートで算出するのが基本です。
こんな時はどう書く?特殊な例の通勤時間の書き方
引っ越し予定がある場合
入社までに引っ越しを予定している場合は、新住所から算出した通勤時間を記入します。その際、履歴書の通勤時間欄や備考欄に「〇年〇月〇日転居予定」などと補足し、新住所からの通勤時間であることを明示しましょう。
例えば、既に新居の場所と転居日が決まっているなら、「新住所より(2024年4月1日転居予定)電車 約0時間50分」という形で記載します。こうすることで、履歴書の現住所とは異なる住所からの通勤時間を示すことができます。
転居日が決まっている場合は住所欄にも書いておくのが望ましいですが、入社まで期間がある場合は通勤時間欄にだけ補足すれば問題ありません。
引っ越し予定はあるが住所が未定の場合
採用が決まってからの引っ越しを検討している場合は、無理に通勤時間を数字で書く必要はありません。ただし、通勤時間欄を空欄にするのはNGです。
まず、通勤時間が確定できない理由を示すため、通勤時間欄の所要時間部分には「―時間―分」と横線を引きます。その後、空いている箇所に「採用いただけましたら通勤可能エリアに転居予定(30分圏内)」などと書き添えましょう。
例えば「採用後は職場近くに転居予定(30分以内)」のように記載すれば、記入漏れではなく転居前提であることが伝わります。
このように横線と注記で対応する方法は、地方から都市圏へのUターン転職など現住所から遠方への応募時によく使われています。内定後に転居先が決まったら、入社書類の提出時などに改めて正確な通勤時間を伝えると親切です。
在宅勤務・リモートワークの場合
フルリモート予定の職種でも履歴書の通勤時間欄は埋めておくのが基本です。通勤の必要がないからと空欄にせず、「約―時間―分(※フルリモート予定のため形式上記入)」のように書くと良いでしょう。
もしくは自宅から本社所在地までの時間も記載しつつ、「※テレワーク希望」といった備考を添える方法もあります。リモートワーク中心とはいえ、出社が全く無いとは限らないため、いざ出社するとしたらどれくらい時間がかかるのか示しておくと丁寧です。
採用担当者に対して「リモート前提だが記入漏れではない」ことが伝わるよう、横線や注記で在宅勤務である旨を明記しておきましょう。
勤務地候補が複数ある場合
配属先や勤務地が複数の候補から入社後に決まる場合は、志望する勤務地を想定して通勤時間を書くのが一般的です。
例えば、求人票に「勤務地:東京または大阪」と記載されていたら、自分が希望する方の勤務地までの通勤時間を算出して記入します。
その際、必ず「○○勤務の場合」「△△支店に通勤する場合」のように、どの勤務地を想定した時間か補足しましょう。
勤務地が未定だからといって空欄にはせず条件を明示して具体的な時間を記入することが大切です。
通勤時間が長い場合
通勤時間が片道90分を超えるような長距離通勤でも、履歴書には正直に記入します。
一般的に片道90分以内が無理なく通える目安とされており、都市圏ではそれ以上だと負担を懸念されることがあります。
もし通勤に2時間近くかかる場合、履歴書の本人希望欄に「現職も同程度の通勤時間ですが業務に支障ありません」と補足するといった工夫が効果的です。
通勤時間が長くても支障がないことを伝えることで、採用担当者の不安を和らげることができます。また、「採用いただけたら必要に応じ転居も検討します」と添えるのも選択肢のひとつです。
重要なのは「無理なく通勤できるか」という点なので、自身が負担に感じていない旨をアピールしましょう。長距離通勤でも意欲が落ちないことを示せれば好印象につながるでしょう。
生活拠点が複数ある場合
平日と週末で住む場所が異なるなど、生活拠点が複数ある場合は、平日に主に滞在する住まいからの通勤時間を記入します。
例えば、「週末は地方に帰り、平日は都内のセカンドハウスに住んでいる」という二拠点生活のケースでは、平日に通勤に使う都内の家から計算した通勤時間を書くようにしましょう。
履歴書の現住所欄には基本的に住民票上の住所を書きますが、通勤時間に関しては実際に通勤拠点となる場所から算出することがポイントです。
複数拠点があることを採用担当者に伝える必要は特になく、面接などで質問があれば通勤方法を詳しく説明すれば問題ありません。
入社後に寮・社宅を利用する場合
会社の寮や社宅への入居を希望している場合は、その物件の場所が確定しているかによって書き方が変わります。
場所が決まっているなら、そこからの時間を算出します。 決まっていない、あるいは入寮希望であることを伝えたい場合は、時間は記入せずに事情を説明します。
通勤時間欄には「―時間―分(入寮希望)」と記入するか、本人希望欄に「貴社の独身寮への入居を希望いたします」と記載しましょう。
寮や社宅の入居手続きには企業側も準備が必要になるので、検討段階でも記載しておくことをおすすめします。
通勤時間を書く欄がない場合
最近の履歴書、特に厚生労働省が2021年に策定した新しい様式では、通勤時間の記入欄自体が削除されていることがあります。このようなフォーマットを使用する場合、通勤時間を無理に書く必要はありません。
しかし、通勤時間の制約がある場合や、特にアピールしたい事情(近隣に住んでいるなど)がある場合は、「本人希望記入欄」や「備考欄」を活用して記載しても構いません。
また、企業指定の履歴書や古い形式の履歴書を使用する場合は、欄がある限り必ず記入するようにしましょう。
履歴書の通勤時間で採用担当者が見ていること

- 無理なく通勤できる所要時間か
- 会社が負担する交通費の金額はどの位か
採用担当者が履歴書の通勤時間欄を確認する際、主に見ているポイントは上記の2点です。 単なる事務的な確認ではなく、入社後の定着率やコストに関わる重要な判断材料として扱われています。
平日に通勤する上で負担が大きすぎたり、無理がある移動手段であったりする場合、「勤続することが難しい」と判断されることになります。
また、時間的には問題なくとも、交通費が大きくなりすぎる場合にも採用の可否に影響しかねません。実際には、転居を打診されたりするケースもあり、通勤時間だけが原因で不採用となることは少ないでしょう。
しかし、基本的には自分と企業の両方にとって無理のない通勤スタイルであることが求められるものです。
履歴書の通勤時間は正確に記入しよう
履歴書の通勤時間は、単なる数字の報告ではなく、入社後の働き方をイメージさせる重要な情報です。正確な計算方法を知り、5分単位で記載することなどの基本ルールを守ることで、採用担当者に「規律を守れる誠実な人物」という印象を与えることができます。
また、引っ越しや特殊な事情がある場合でも、補足説明を丁寧に加えることで、コミュニケーション能力の高さや仕事への熱意をアピールするチャンスに変えられます。
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