履歴書を書く際、現住所と連絡先住所が同一のケースで「同上」と記載すべきか悩んだ経験はないでしょうか。同じ内容を繰り返し記入する煩わしさを避けたくても、採用担当者に悪い印象を与えないか心配になる方は多いです。
実際のところ、履歴書では「同上」の記載が認められる項目と避けるべき項目が明確に区別されています。この基本的なルールを理解しておけば、作成時間を短縮しながらも、ビジネスマナーを守った好印象な書類に仕上げることができるでしょう。
この記事では、「同上」の適切な使用方法をはじめ、記載可能な具体的シーン、そして絶対に控えるべきパターンについて詳しく紹介します。
「同上」とは何か?履歴書で使う目的とマナー

引用:転職Hack
履歴書における「同上」の目的
「同上(どうじょう)」とは、直前に記載された内容と同じであることを示す表現です。ビジネス文書や公的な書類において、重複する情報を簡潔に伝えるために用いられます。
履歴書においては、主に「現住所」と「連絡先」が同一である場合などに、読み手の負担を減らし、書類全体をすっきりと見せる目的で使用されます。
同じ住所が上下に並んでいるよりも、「同上」と記されている方が視線の移動がスムーズになります。よって、情報把握が容易になるというメリットがあります。また、書く側にとっても記入の手間が省け、書き間違いを防げるという利点があります。
「同上」はマナー違反ではない?
履歴書の一部項目で「同上」と記載しても、失礼にはなりません。ビジネス上の正式書類であっても、同じ内容の繰り返しを簡略化する書き方は一般的に受け入れられています。
履歴書は正式なビジネス文書ですが、わかりやすさや内容の正確さが求められるため、適切な省略表現は使用して問題ありません。とはいえ、あらゆる箇所で自由に記載できるわけではない点に注意が必要です。
「同上」が適切とされるのは、「連絡先」「緊急時の連絡先」といった、同一の事実を再度記す場面に限定されます。
一方で、学歴欄や職歴欄、志望理由などで頻繁に用いると、「意欲が伝わらない」「手抜きをする人物だ」という印象を与えかねません。そのため、記載可能な箇所をきちんと把握しておくことが大切です。
履歴書で「同上」を使って良いケース

引用:リレツク
現住所と連絡先が同じ場合
履歴書で「同上」を利用することが多いのは、今お住まいの場所と連絡を受け取る住所が同一の場合です。多くの履歴書フォーマットでは、現在の居住地を書く欄の直後に連絡先を入力する箇所が設けられています。
書類の送付先や急ぎの連絡先が普段の居住地と変わらない場合、わざわざ同じ情報を二度書く必要はありません。連絡先の住所欄へ「同上」と一言添えるだけで、採用担当者は「現住所へ郵送・連絡すればよい」と瞬時に把握できます。
さらに、店頭で購入できる履歴書用紙の大半には、連絡先記入欄付近に「居住地と同一であれば同上と表記してください」といった案内文が印刷されています。そのため、この方法は広く認められたマナーに従った記入スタイルだといえるでしょう。
電話番号・メールアドレス欄が複数ある場合
履歴書のフォーマットによっては、連絡先を記載する欄が複数設けられている場合があります。固定電話と携帯電話の記入スペースが分かれていても、現代ではスマートフォン一台のみで日常を過ごしている人は珍しくありません。
このようなケースでは、日頃から応答しやすい携帯電話の番号を優先的に記入し、他の欄への記載が求められる場合は同上と書けば問題ありません。ただし、「固定電話」という項目名の場合には「同上」は使わず、「なし」と入れるのが適切です。
メールアドレスについても同様に、パソコンとスマートフォンの両方で確認できるアドレスを入れるのがおすすめです。
重要なのは、確実に届く連絡方法を示すことです。各欄の形式を確認したうえで、繰り返し記入が必要な場面でのみ同上を使いましょう。
緊急連絡先が本人と同一情報の場合
緊急連絡先欄は、本人と連絡が取れない場合に備えて連絡を記載する項目です。
そのため、緊急連絡先の住所が本人の住所と完全に同じ場合に限り、「同上」と記載できます。たとえば、親元(実家)で生活しており、本人の住所と緊急連絡先の住所が一致している場合は、「同上」と記して問題ありません。
一方で、一人暮らしをしていて、実家を緊急連絡先として記載する場合は注意が必要です。そのようなケースでは、実家の所在地や世帯主の名前、連絡用の電話番号などを省略せず、正確に記入しましょう。
「同上」を使うのは避けるべき欄

学歴・職歴欄では使わない
学歴や職歴の欄では、「同上」を使用せず正式名称で記入することが基本です。同じ学校の「卒業」と「入学」が続く場合や、同じ会社での部署異動などで社名が続く場合であっても、「同上」と省略するのは避けましょう。
学歴・職歴は、応募者の経歴を証明する公的な記録としての側面が強いため、一行ごとに完結した情報を記載する必要があります。例えば、同じ学校系列の大学に進学した場合でも「同上大学 入学」とは書かず、「〇〇大学 入学」と正式名称で書きます。
職歴においても、「株式会社〇〇 入社」の次に「同上 退社」と書くのはマナー違反です。「株式会社〇〇 退社」または「一身上の都合により退職」のように、省略せずに記述します。
多少手間に感じられても、採用担当者に誤解なく経歴を伝えるためには、省略せずに丁寧に記入することが大切です。
資格・免許も正式名称で書く
資格や免許の欄も、学歴・職歴と同様に「同上」の使用は適していません。同じ実施団体が主催する検定試験などを複数取得している場合でも、それぞれの資格名は正式名称で記載します。
資格名は似たような名称が多い上に、級数や種類が異なれば全く別のスキルとして扱われるため、省略することで誤解を招く恐れがあるため注意が必要です。例えば、英語検定などで「同上 2級合格」のように書くのではなく、「実用英語技能検定 2級 合格」と書くのが適切です。
取得年月とともに正式名称を並べることで、あなたが積み重ねてきたスキルを正確にアピールできます。資格欄が埋まることは努力の証明でもあります。省略せずに丁寧に書くことで、几帳面さや仕事に対する誠実な姿勢を伝えることにもつながるでしょう。
志望動機・自己PRで使うのは絶対にNG
志望動機・自己PR・本人希望欄といった記述式の項目では「同上」を使うのは避けましょう。志望動機と自己PRは重要なアピール材料になるため、自分を知ってもらうチャンスを減らすことになってしまいます。
また、本人希望欄に「同上」と記載すると、「希望の有無」「何を指して同じなのか」がわからず、余計な混乱を招きかねません。
履歴書は一枚で応募者像を把握させる役割を担っています。記入スペースが限られている場合は要点を絞って書き、意欲をアピールする場として活かしましょう。
記述欄を「同上」で済ませてしまうと、対話する意思がないと判断されるリスクがあります。必ず自身の言葉で丁寧に仕上げましょう。
履歴書の「同上」の正しい記入ルール

元になる記入内容が正しいことが大前提
「同上」を使用する際の絶対条件として、参照元となる上の行の内容が正確であることが挙げられます。もし現住所の番地や建物名に誤りがあった場合、「同上」とした連絡先欄も自動的に間違った情報として扱われることになります。
これでは、重要な連絡が届かないだけでなく、確認不足の印象を与える可能性もあります。特に、住所のふりがなや郵便番号などは見落としがちなので注意しましょう。
省略して効率化を図る前に、まずは元となる「現住所」の欄が一字一句間違っていないかを念入りに確認しましょう。正確な情報があって初めて、「同上」という省略表現がスマートな意味を持ちます。
記載する欄には「同上」だけを書く
「同上」を使用する場合、その記入欄には「同上」という文字以外は書かないのが基本です。住所は同じでマンション名だけ補足したい、あるいは「同上」の後に電話番号を追加するといった書き方は避けましょう。
情報が混在すると、どこまでが「同上」でどこからが新しい情報なのかが曖昧になり、読み手の混乱を招く原因となります。
また、記載する位置についても注意が必要です。欄の左端に寄せて書くケースも見られますが、一般的には欄の中央にやや大きめの文字で記載すると全体のバランスが整います。
余白を恐れずに堂々と記載することで、整った印象の書類になります。
「同上」は漢字で記載しふりがなは振らない
履歴書はフォーマルな書類であるため、「同上」は必ず漢字で記載します。省略記号である「〃(ノノ字点)」はメモ書きや社内資料などで使われる表記であり、採用選考に用いる応募書類には不適切です。
また、「同上」という漢字に対して「どうじょう」とふりがなを振る必要もありません。読みやすさを考慮するならば、文字の大きさに気を配りましょう。他の文字と同じくらいのサイズで、丁寧に楷書で書くことが基本です。パソコンで作成する場合も同様に、漢字で入力します。
細かな点ですが、こうした基本的な表記ルールを守ることで、常識ある社会人としての振る舞いを示すことができます。
「同上」が連続しないように注意する
「同上」は便利な表現ですが、履歴書内で何度も使うのは避けたほうが無難です。履歴書のあちこちに「同上」が散見されると見た目が整わず、書類全体が空白が多い、内容の薄い履歴書の印象になってしまいます。
特に、連絡先欄以外で多用すると、熱意が感じられないと受け取られてしまうリスクがあります。
基本的には、「現住所と連絡先が同じ場合」の一箇所での使用に留めるのがおすすめです。もし、他にも同じ内容を書く必要が出てきた場合は、あえて正式名称で書くことで丁寧さを演出することも一つのテクニックです。
「同上」はあくまで、読みやすさを向上させるための手段であり、手抜きをするためのツールではないことを意識して使い分けることが大切です。
履歴書の「同上」に関するよくある質問

「同上」で省略するのは失礼?
「同上」で省略すること自体は、失礼にはあたりません。履歴書は自分自身をアピールする書類ですが、同時に採用担当者が管理・処理する事務書類でもあります。
厚生労働省(ハローワーク)などの公的機関が主催する就職支援セミナー等でも、履歴書は「読みやすさ」と「正確さ」が重要であると指導されています。住所欄における「同上」は、情報の重複を避けて可読性を高めるための正当な手法として認知されているのです。
ただし、使用する場所や頻度には配慮が必要です。失礼にはならないものの、使いすぎたり不適切項目で用いたりすると配慮に欠ける印象になりかねません。適切なマナーの範囲内で活用しましょう。
エントリーシートや職務経歴書でも「同上」を使ってもいい?
エントリーシートや職務経歴書においても、住所や連絡先欄であれば「同上」を使用しても問題ありません。これらの書類も履歴書と同様に、基本情報の正確な伝達が求められるものです。
複数の書類を同時に提出する場合、「1-2-3」と「1丁目2番3号」のような住所の表記揺れが生じると、同一住所であることがわかりにくくなることがあります。その点、「同上」を使えば、情報を統一でき、読み手への配慮にもつながります。
ただし、エントリーシートは企業独自の設問が多く、Web入力フォーム ではシステム上「同上」が使えないケースがほとんどです。その場合は、コピー&ペーストで統一しましょう。「同上」は手書き提出の場合に限ったテクニックとして覚えておくと良いでしょう。
同上のかわりに「〃」は使える?
履歴書をはじめとするフォーマルな書類では、「〃(ノノ字点)」といった略号の使用は避けます。
この記号は本来、メモ書きや私的な覚え書き、あるいは社内向けの簡略化された資料で使われるものであり、外部へ提出する公式文書となる履歴書には適しません。
そのため、「マナーを知らない」「文書作成への配慮が足りない」といったマイナス評価につながるリスクがあります。省略したいときは、必ず漢字で「同上」と書くようにしましょう。
「同上」はビジネス文書で正式に認められた省略方法であり、相手への礼儀を保った表現といえます。一見わずかな違いに見えますが、読み手が受ける印象は大きく変わるという点を意識しておきましょう。
「同上」を使わずに同じ内容を繰り返し書いても問題ない?
結論から言うと、「同上」を省いて住所や連絡先を毎回記載しても全く問題ありません。むしろ、省略しないことで相手に誠実な姿勢が伝わるケースもあるでしょう。
きれいな文字を書ける自信がある人や、記入欄を空けたままにしておくことに抵抗を感じる人は、ひとつひとつ丁寧に記載する方がおすすめです。
そもそも「同上」は、記入作業を効率よく進めるための便宜的な方法に過ぎず、使用は必須ではありません。
どちらにすべきか判断に困ったときは、手間を惜しまずに正確な情報をきちんと書く選択をしておけば、失敗することはないでしょう。
履歴書の「同上」は正しく使えば問題ない!
履歴書における「同上」は、住所や連絡先欄においてのみ使用が認められている便利な言葉です。正しく使えば、書類を作成する時間を短縮できるだけでなく、採用担当者にとっても読みやすい親切な履歴書になります。
一方で、学歴や職歴、志望動機などで使用することはマナー違反となり、評価を下げる原因にもなりかねません。
どこで使ってよいのか、どのように書くのが正しいのかをしっかりと理解し、メリハリのある美しい履歴書を作成しましょう。
