履歴書の健康状態欄は、入社後に無理なく働けるかを確認するための項目です。持病や既往歴があるからといって、それだけで不利になるということはありません。
ただし記入内容によっては、採用担当者に不安や誤解を与えたり、入社後のトラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。
本記事では「持病はあるが書くべき?」「通院中だけど伝える必要は?」「業務制限がある時はどう書く?」など、現在の健康状態別の書き方を例文付きで紹介します。
健康状態欄の書き方に不安がある方はぜひ参考にしてみてください。
履歴書に「健康状態」を書くのはなぜ?

業務を問題なく遂行できるか確認するため
企業が履歴書で健康状態を確認する最大の理由は、採用後に滞りなく業務を任せられるかを判断するためです。採用後に健康面の事情から勤務に支障が出ると、現場の負担が増える場合があります。
特にシフト変更や業務量の調整が発生すると、業務の進行が遅れたり、他のスタッフの仕事量が必要以上に増えたりしかねません。そのため、病名や既往歴にかかわらず、「業務を続けられるかどうか」の判断材料として健康状態欄が参照されています。
入社後のミスマッチを防ぐため
企業が健康状態欄を確認するのは、採用後に応募者が「思っていたより負担が大きい」と感じ、休職や早期退職するリスクを抑えるためでもあります。休職や離職が発生すると、企業は欠員対応や業務の引き継ぎに加え、採用・教育を再度行わなければいけません。
また、採用後に健康面の事情が判明すると、配置転換やシフト再編などに余計な時間を割かなくてはいけなくなります。急な業務の再調整は、現場の混乱や企業への不信感につながりやすく、他のスタッフの離職にもつながりかねません。
そのため、多くの企業は採用段階で健康に関する必要な情報を共有したいと考えています。
業務上の配慮を事前に把握するため
健康状態を事前に共有すると、企業も状況を理解したうえでの配置や働き方を検討しやすくなります。
企業には、労働者の安全と健康を守る義務(安全配慮義務)があります。安全に働ける環境を整えるためには、業務上の配慮が必要な点を事前に把握しておくことが不可欠です。
例えば、定期通院が必要な人でも、事前に共有しておくと時間の調整を相談しやすくなります。腰痛があるなら重い物を持たない業務に変えてもらえたり、アレルギーがあるなら空調や配置を考えてもらえたりと、安心して仕事を続けられる環境につながりやすいでしょう。
健康状態を正直に伝えることは、必ずしも選考を不利にしてしまうマイナス要素ではありません。長期的に働きやすい環境をつくるための前向きな情報共有として、適切な範囲での申告をしましょう。
履歴書の健康状態欄の書き方

健康状態に問題がない場合は「良好」と記載する
身体的・精神的な問題がなく業務に支障がなければ、健康状態欄に「良好」とシンプルに記載します。
採用担当者は履歴書を短時間で確認するため、簡潔な表現のほうが内容が伝わりやすいのでおすすめです。過度に長く書くよりも、事実を一言で提示するほうが信頼性につながります。
どうしても健康面を強調したいときは、「極めて良好(○年間無遅刻無欠勤)」など裏付けとなる事実もセットで添えましょう。
ただし根拠のない表現やあまりに大げさな表現は、ビジネス文書にふさわしくないと見られる場合もあります。健康状態欄をアピールに使う場合は、事実に基づいた表現でまとめると安心です。
また、履歴書に健康状態欄が設けられていない場合は、無理に追記する必要はありません。
特記事項がない場合でも必ず記入する
健康面で特に配慮が必要なかったとしても、健康状態欄を空欄で提出するのは避けましょう。健康状態欄に何も書かないまま提出すると、単なる記入漏れと判断され、確認の手間が生じてしまう可能性があります。
また、「確認不足」というマイナスイメージを持たれたり、履歴書自体の印象を下げてしまうケースもあるので注意が必要です。
採用担当者は、毎日何枚もの履歴書を処理しているため、余計な確認業務がいらない書類のほうを評価しやすくなります。特記事項がない場合でも、健康状態欄があれば「良好」と書き、空欄のない状態で提出しましょう。
配慮が必要な場合は業務への影響を中心に書く
- 業務に支障がないか、ある場合はどこに影響するか
- 通院頻度や調整が必要な時間があるか
- 職務内容で避けたい行動があるか
持病・アレルギー・通院中などの理由で配慮が必要な事項がある場合は、業務に影響する点や業務上配慮が必要な点だけを明確にします。病名や症状を細かく書く必要はありません。
業務面で希望する条件を丁寧に伝え、採用担当者と無理のない働き方について共有しておきましょう。ただし、過去の病気や完治済みの怪我など、現時点で勤務に支障がない内容は書かなくても問題ありません。
なお、健康状態欄が設けられていない履歴書でも、入社後の勤務に影響が出る事情がある場合は補足が必要です。本人希望欄や備考欄を活用し、業務への影響と必要な配慮を記載しましょう。
事実に基づいた内容をそのまま記載する
健康状態欄では、事実のみを正直に記載しましょう。症状を隠したり大げさに記入したりしてしまうと、入社後に申告内容と実態のズレが表面化し、職場トラブルにつながるおそれがあります。
例えば、通院頻度や勤務制限が想定より多いと、シフトや担当業務の再調整が必要になり、現場に混乱が生じかねません。
反対に、実際は対応できるのに過度に制限を強調しすぎると、配属の選択肢が狭まったり、任せられる業務の幅に影響する可能性があります。
また、採用時の確認事項と異なる内容が判明した場合、企業やチームからの信頼を損ってしまうこともあります。内定取り消しなどの深刻な問題に発展するケースもあるため、注意が必要です。
【ケース別】履歴書の健康状態欄の記入例

持病はあるが業務に支障がない場合
【記入例】
- 基本形:良好
- 補足する場合:良好。高血圧で服薬中。月1回通院していますが、休日受診可能なため業務に支障はありません。
高血圧や花粉症、腰痛など、持病があっても日常業務を問題なく遂行できる場合は「良好」と書きましょう。
たとえ治療中や服薬中であっても、通院が休日に完結する、症状が安定しているなど業務に影響がなければ、記入する必要はありません。
ただし、就業中に服薬が必要な場合や、皮膚症状などが外見から分かる場合などは、誤解を防ぐため病名や症状を報告しても良いでしょう。
その後、「業務に支障なし」「現在は症状が安定」と補足すれば、安心感も与えられます。
通院頻度や就業制限の有無など、安心できる材料を添えるとより丁寧な印象になるのでおすすめです。
持病・既往歴・通院が必要な場合
【例文】
- 通院治療中。月2回午前中に通院のため半休取得予定。午後は通常勤務可能。
- 通常業務には支障ありませんが、定期受診のため月1回、平日夕方に早退が必要。受診の日程は事前調整可能です。
治療や経過観察などで、定期的な通院が必要な場合は「良好」と書かず、どの程度の配慮が必要か(頻度・時間帯など)を具体的に記載しましょう。
半休や早退が想定される場合は、事前調整で対応可能かどうかもあわせて示すと、採用担当者が勤務イメージを持ちやすくなります。
一時的な体調不良や怪我の場合
【例文】
- 良好。骨折治療中(通院中)。就業開始までに治癒見込みのため、入社時には通常勤務可能。
- ねん挫の治療中。入社直後は重量物の運搬が困難ですが、事務作業・PC業務は通常対応可能。医師の見立てでは、就業開始後1か月程度で回復の見込みです。
骨折やねん挫などで面接時に治療中でも、入社までに回復の見込みがある場合は「良好」と書いて差し支えありません。
入社後も回復までに一定期間の配慮が必要なのであれば、配慮を希望するポイントに加え、回復の見込みも添えて記載しましょう。
業務の一部に支障が出る場合
【例文】
- 腰痛のため重量物の持ち運びに制限あり。事務作業は可能。
- 偏頭痛で強い光に弱いが、在宅・デスク環境で勤務可能。
- 軽度難聴で会議は補助が必要ですが、PC業務に支障ありません。
重量物運搬・立ち仕事・夜勤など一部の業務が困難な場合は、対応できない業務内容について簡潔な理由とともに記載します。
「対応できないこと」に加え「問題なく行える業務」についてもセットで書いておくと、採用担当者は配置や働き方を考えやすいでしょう。「少しなら我慢できる」と無理をするよりも、配慮が必要と事前に伝えておく姿勢が大切です。
精神疾患がある場合
【例文】
- 継続治療のため月1回通院あり。当日は午後より勤務可能。日程調整は事前相談にて対応可能です。
- 通常勤務可能。ただし集中力低下予防のため繁忙時間帯の長時間残業は控えたいです。
- 通常業務範囲内での配慮をお願いできれば問題なく勤務できます。
適応障害・うつ病など精神疾患がある場合、治療継続の有無や業務可能範囲、配慮を希望する内容などを中心に書きましょう。病名や症状の記載は不要です。
厚生労働省の調査によると、メンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した労働者がいた事業所割合は10.4%とされていることからも、企業にとって精神疾患の罹患は珍しいケースではないことがわかります。
多くの企業は、病名よりも「働ける状態にあるか」という点を重視しています。
なお、症状が安定している・公休日に通院できるなど、業務に支障が出ない場合は「良好」とし、詳細を書く必要はありません。
病気や怪我で前職を退職している場合
【例文】
- 良好。療養のため退職しましたが現在は回復済みで、通常勤務が可能です。
- 病気療養のため前職退職。経過観察のため月1回通院あり。当日は午後より勤務可能です。
- 通常勤務は可能ですが、再発する恐れがあるため、月1回の通院継続と必要時の休息確保に配慮いただけると安心です。
病気や怪我が理由で前職を退職している場合は、現在の状況や配慮してほしい点を具体的に書きましょう。
病気が原因で離職した経験のみを書いていると、採用担当者に不安を感じさせる可能性があります。すでに完治している病気であれば「良好」と書いて構いません。
ただし、離職理由については経歴欄などでも触れるので、「回復して、現状は業務に支障が出ない」という点を明らかにしておくと採用担当に安心感を与えることができます。
再発などのリスクがあり、限定的な働き方を希望する場合は、勤務条件や対応可能な範囲を詳しく明記しておきましょう。
履歴書の健康状態が採用に影響することはある?

健康状態欄に持病や既往歴を記載したからといって、ただちに不採用になる可能性は基本的にはありません。
厚生労働省が発表した「公正な採用選考の基本」にも、「応募者の適性・能力に基づいて採用選考を行うこと」と明記されてます。持病などがあっても、それだけを理由に採用を見送られることはまず無いでしょう。
また、事実を正しく伝えた上で働ける範囲を明示することは、応募者自身にとってもメリットがあります。業務量を調整してもらえたり、無理なく働ける部署への配属を提案される可能性が高くなるためです。
このように、健康状態欄はマイナス評価の材料ではなく、企業と応募者の双方が無理なく働ける環境づくりのために必要な情報です。
健康状態を隠すことはトラブルや誤解を招く可能性があるため注意しましょう。
ただし、仕事内容と健康上の制限に食い違いがある場合は例外です。例えば、トラックやタクシーなどの運転業務に応募する場合、視野や視力に症状があると「安全な運転の継続が困難」として、「適性・能力」の面で不採用になるケースも考えられます。
履歴書の健康状態は必要な情報を記載しよう
健康状態欄は、病名の申告欄ではなく、就業上の制限や配慮の要否を伝える欄です。そのため、「不利になるのでは」と意図的に隠したり、周囲の配慮を期待して必要以上に大げさに書くべきではありません。
たとえ持病や既往歴があっても、現状で業務遂行に問題がなければ「良好」と記載しましょう。通院や業務上の配慮が必要な場合は、勤務への影響範囲と必要な配慮(通院頻度、制限動作など)を明記します。
選考においては、基本的に健康上の事情だけで不採用にされることはありません。採用後のミスマッチを防ぐためにも、無理のない働き方に直結する情報を適切な範囲で共有しましょう。
