このページでは職務経歴書の職務経歴欄の正しい書き方やノウハウについて解説しています。

正しい書き方を身に付けることで、自身の能力を効果的にアピールすることができます。

書くべき内容と読みやすい構成の仕方を押さえ、より良い職務経歴書の作成に役立てましょう。

職務経歴書の「職務経歴欄」と履歴書の「職歴欄」の違いとは?

履歴書は氏名・住所・連絡先・学歴・職歴などのプロフィールを中心に記載する書類です。無料でダウンロード出来るテンプレートやフォーマットの他、WordやExcelなどでの作成なども出来るので作成のコツを押さえて、魅力的な職務経歴書を作りましょう。

履歴書の「職歴欄」は「いつ入社・退社」したのかという事実を時系列順に簡単に把握できるものとなっています。

一方で、職務経歴書およびその「職務経歴欄」(職務内容欄)は過去の業務経験やそこで上げた実績、培ったスキルなどの職歴を詳細に記載し、自身の能力を具体的にアピールできる書類になります。

この記事では、職務経歴書の「職務経歴欄」の書き方について、見本や例文を交えて詳しく解説していきます。

【職務経歴欄】の正しい書き方

職務経歴書の見本

履歴書の職歴欄は規定のフォーマットに則って職歴を書いていくものです。一方、職務経歴書はフォーマットに指定がありません。

そのため、自由に構成を工夫したり、自分に適したテンプレート(書類様式)を用いて、自分の強みをアピールすることができます。Wordや、Excel形式のテンプレートもあるので、それらを利用すると比較的容易に職務経歴書を作成することが出来ます。

しかし、職務経歴書の「職務経歴欄」をまとめる際には、必ず記載するべき項目があり、書き方にもルールがあります。

また職歴は基本的にはA4用紙1〜2枚、多くても3枚までに収まるように簡潔にまとめるのが良いとされています。

職務経歴を書く際、一つの職歴ごとに記載が必須な項目は下記の5つです。

それらの項目を中心として職務経歴欄をまとめていきましょう。

企業概要

自身が働いていた企業がどのような場所なのかを「企業概要」にまとめます。

記載必須の情報は企業名や事業内容、そして企業の規模感を掴むのに有用な資本金、従業員数です。

他に設立年月日や直近の売上高を記載することもあります。

企業名は「株式会社」「有限会社」のような法人格も省略せずに書きましょう。

あくまでも職務経歴欄で重要なのは「あなたがその企業で何をしていたのか」なので、企業概要は短くまとめるのがポイントです。

就業期間

実際にその企業で働いた「就業期間」は「2022年3月〜2023年4月」というように月単位まで記載しましょう。

職務経歴欄の左側に就業期間を書くためのスペースが用意されている場合が多いですが、無い場合にはそれぞれの職歴の冒頭に書き入れましょう。

また職務経歴書を提出する時点でまだ職に就いている場合には、「〇〇〇〇年〇月〜現在」と書きます。

部署・役職

所属していた「部署」や「役職」は省略せず記載します。

例えば、「営業本部 第一営業部 1課配属」「東京支社 インターネット事業部 開発チーム配属」というように、長くても正式名称で書くのがルールです。

異動や昇進をした場合には、同じ枠内に記載せず、また別の経歴として就業期間などと一緒に詳細に書くことになります。

途中で部署の名前が改められただけの場合には、特筆しなくても問題ありません。

職務内容

「職務内容」は「大手小売企業の発注システム開発」といったように具体性と分かりやすさが両立できるかたちで記載しましょう。

基本的には箇条書きで、主な職務の概要を簡潔に一文で書き連ねていきます。

しかし、営業職の場合は、職務の概要を書き、その下に営業スタイル、担当商品、担当エリアなどを補足するように書くのが良いとされています。

また技術職では使用していた機器やソフトウェアなどを補足として入れるのが一般的です。

このように、職種によっては採用担当者が知りたいであろう、その職種ならではの補足情報を加える必要があります。

キャリアを通して培ってきた経験をしっかりと応募企業の採用担当者にアピール出来るようにしましょう。

実績・受賞歴

何らかの「実績」や「受賞歴」がある場合には必ず記載しましょう。

実績を書くことであなたの仕事の能力をアピールすることができます。

「リニューアルに携わった食品の売上が前年比200%を記録」「20xx年度 個人売上高〇万円(営業部50人中2位)」などのように、売上や順位の数字を含めることでより具体的に伝えることができます。

また就業中の受賞歴がある場合には、記載することで社内でも特に優秀な人材であったことをより効果的にアピールできます。

具体的な実績の後ろに括弧書きで「20xx年度 社長賞受賞」というように記載すると、どのような実績で高い評価を得たのかが分かりやすくなります。

職務経歴を書くときのポイント

読みやすいレイアウトを意識する

職務経歴欄は職種や職務経歴書自体のフォーマットの違いなどから、書き方にも違いが生じます。

しかし、いかなる場合でも読み手のことを考えるということを忘れないようにしましょう。

「必要な情報が揃っているか」ということだけではなく、「読みやすいか」という点も重要となります。

読みにくいレイアウトだと、情報が適切に伝わらなかったり、良い印象を与えることができません。

「文字のフォントやサイズを揃える」「情報は簡潔にまとめる」など、読みやすさを意識しましょう。

読みやすくするための工夫として「強調したい部分のみ太字にする」ことも可能です。

しかし、職務経歴書では黒一色で仕上げるのが良いとされているため「強調したい部分の文字色の変更」はしないように注意しましょう。

具体的な数字を入れる

先述した通り、職務経歴欄に「実績」や「受賞歴」を記載する場合には、具体的な数字を入れると、それらの凄さをよりイメージしやすくなります。

「広告制作に携わった製品の売上が上昇した」と書くよりも、「広告制作に携わった製品の売上が前年比180%を記録」と数字を提示して書いた方が、その実績を上げた人の優秀さがより効果的に伝わるでしょう。

数字で表せる実績などがある場合には、積極的に記載していきましょう。

業界用語は使用しない

職務経歴書内では「業界用語」は使用しないようにしましょう。

異なる業種の企業に応募する場合には、転職先の採用担当者に意味を理解してもらえない可能性が高いです。

また同じ業種の企業に応募する場合でも、用語が前職の企業での造語であり、他社では通じないというような場合も有り得ます。

どのような人に読まれても問題が無いように「誰が読んでも分かりやすい職務経歴書」を目指しましょう。

自分をアピールするための書類であることを意識する

職務経歴書は職務経歴から自身のキャリアと培ったスキルを応募先の企業へとアピールするための書類です。

「何をどのようにアピールすれば効果的か」を意識して作成しましょう。

そのためには、「採用担当者が知りたい情報は何か」「企業が求めるスキルはどのようなものか」などを知っておくことが大切です。

職務経歴を書き始める前にしっかりと企業研究を行っておきましょう。

【例文あり】職務経歴の書き方

営業(IT)の場合

【職務経歴書(営業)】

前職:ITソリューションプロバイダー株式会社

[勤務期間: 20XX年XX月 – 20XX年XX月]

【職務概要】

ITソリューションプロバイダーでの営業職として、新規および既存顧客に対して優れたIT製品およびサービスを提案し、販売を推進。顧客のニーズを理解し、長期的な関係を築くための戦略的なアプローチを実行しました。

【業績・実績】

– 新規顧客の獲得において、前年比150%の売上増を達成。

– 既存顧客のリレーションシップを強化し、クロスセルおよびアップセルによる売上拡大を実現。

– ソリューション提案の際、顧客の業界および課題に合わせたカスタマイズを行い、顧客満足度の向上を実現。

– マーケット動向のリサーチと競合分析を通じて、新たな市場チャンスを見出し、戦略の最適化に貢献。

【具体的な業務内容】

– ニーズのヒアリングおよび要件定義を行い、顧客向けに最適なITソリューションを提案。

– 提案内容のプレゼンテーションとデモンストレーションを実施し、顧客の興味を引き、信頼を構築。

– 契約交渉および価格交渉を担当し、Win-Winの条件を実現。

– クロージングおよび契約締結後も、顧客との継続的なコミュニケーションを通じて顧客満足度を高め、顧客ロイヤルティを築く。

【スキル・資格】

– ITソリューションの知識と理解

– 優れたコミュニケーションスキルと説得力のあるプレゼンテーション能力

– ネゴシエーションと契約交渉のスキル

– マーケットリサーチおよび競合分析の経験

– プロジェクト管理能力

【言語スキル】

– 日本語: ネイティブレベル

– 英語: 中級レベル

【趣味・特技】

– テクノロジーの最新動向の追跡

– ネットワーキングイベントへの参加

この例文は営業職のものであるため、「営業スタイル」「担当商品」「担当エリア」が職務内容の補足情報として加えられています。

この書き方では、「どのような相手と取引していたのか」や「どのような商品を売り込んできたのか」という営業職として伝えておくべき情報を簡潔に分かりやすく明示することができます。

また売上の実績が具体的な数字を伴って複数年分記載されていることで、長期に渡って良い成績を上げてきたことを読み手に印象付けています。

商品企画の場合

【職務経歴書(商品企画)】

前職:XYZ株式会社

[勤務期間: 20XX年XX月 – 20XX年XX月]

【職務概要】

XYZ株式会社における商品企画職として、市場調査や顧客ニーズの分析を基に新製品および既存商品の企画・開発を行い、競争力のある商品ラインナップを構築。クロスファンクショナルなチームと連携してプロジェクトを推進し、市場での成功を実現しました。

【業績・実績】

– 新製品の企画・開発において、過去3年間で3つの製品を市場投入。平均して年間売上目標を20%超える成果を達成。

– 既存商品の改善プロジェクトを主導し、顧客満足度を向上させると同時に売上を15%増加。

【具体的な業務内容】

– 市場トレンドの分析と競合商品の調査を通じて、新たな商品アイデアの発掘と提案。

– 顧客インタビューやアンケート調査を実施し、顧客ニーズと要求を理解し、それに基づく商品コンセプトを策定。

– クロスファンクショナルなチームと協力して、商品の仕様、デザイン、価格設定、マーケティング戦略を策定。

– プロトタイプの開発とテストを通じて、商品の機能と品質を確保。

– マーケティングチームと連携して、商品の導入計画およびプロモーション戦略を立案。

【スキル・資格】

– 新商品開発プロセスの経験と理解

– 優れた市場調査および競合分析のスキル

– プロジェクトマネジメントおよびチームリーダーシップの能力

– 優れたコミュニケーションおよびプレゼンテーションスキル

– データ分析ツールの使用経験(Excel、市場調査ツール等)

【趣味・特技】

– マーケットトレンドの追跡

– プロダクトデザインに関する研究

この例文の書き方は、職務内容を箇条書きで記載し、更にその項目の中に箇条書きで詳細な情報を入れることで、より具体的に職務内容を伝えられるようになっているのが大きな特徴です。

また箇条書きの際に用いる点の形状や大きさを変えることで、その構造が分かりやすくなるという可読性を向上させるための工夫もなされています。

この例文のように、それぞれが異なる特徴を持った具体的な職務内容や実績を多く挙げることによって、幅広い分野で活躍してきた人材であることをより効果的にアピールできるでしょう。

エンジニアの場合

【職務経歴書(エンジニア)】

 前職: ABCテクノロジーズ株式会社

[勤務期間: 20XX年XX月 – 20XX年XX月]

【職務概要】

ABCテクノロジーズ株式会社でのエンジニア職として、ソフトウェアの設計、開発、テスト、および保守を担当。クロスファンクショナルなチームと連携してプロジェクトを推進し、高品質なソフトウェアの提供を実現。

【業績・実績】

– 新機能の開発および既存コードの最適化により、製品のパフォーマンス向上と安定性の向上を実現。

– チーム内でのコードレビューおよび知識共有を通じて、開発プロセスの効率化を推進。

【具体的な業務内容】

– ソフトウェアの要件定義および設計を行い、システムのアーキテクチャを構築。

– プログラミング言語(例: Java、Python)を使用して、新機能の開発および既存コードのメンテナンスを実施。

– ユニットテストおよび結合テストを通じて、ソフトウェアの品質を確保。

– チームメンバーとのコラボレーションを通じて、タスクの進捗を管理し、プロジェクトの期日を守る。

– ユーザーからのフィードバックを収集し、改善および新機能の提案を行い、製品の進化を支援。

【スキル・資格】

– プログラミング言語(例: Java、Python、C++)の実務経験

– ソフトウェア設計およびアーキテクチャの理解

– ユニットテストおよび結合テストの経験

– バージョン管理ツール(例: Git)の使用経験

– クロスファンクショナルなチームでのコミュニケーションおよび協力スキル

この例文はエンジニアのものであるため、「SQL Server」というソフトウェアの名前を出し、その使い方を習得していることを読み手に伝えています。

技術職の場合には、このように使用できるソフトウェアや機器などを明示することで、自身の技能をアピールすることができます。

また例文ではプロジェクトマネージャー(PM)というリーダー職に就いていたことが明かされています。

リーダー職の経歴を書く場合には、リーダーを担当したチームのメンバーが何人いたかを示すことをおすすめします。

メンバー数が多いほど、人をまとめてプロジェクトを進めるスキルが高いことをより効果的にアピールしやすいでしょう。

職歴に「空白期間」がある場合の書き方

転職活動をしていた場合

転職活動期間があり職歴に空白期間が生じた場合の記入例

前職を退職した後に、転職活動をしていて職歴に空白期間が生じた場合には、その旨を正直に記載しましょう。

退社理由も述べた方が良いですが、詳細に書く必要はありません。

基本的には「一身上の都合で退社」という書き方で問題無いでしょう。

病気の療養をしていた場合

病気療養で離職期間が生じた場合の職歴の記入例

病気の詳細について記載する必要はありません。

離職期間に完治した場合には、就職しても業務に支障は出ないという旨をしっかりと記載しましょう。

企業からより安心感を持って迎え入れられやすくなるでしょう。

近親者の介護をしていた場合

近親者の介護のために離職していた期間がある場合の職歴の記入例

近親者や知人などの介護のために離職していた期間がある場合にも、正直に記載して問題ありません。

復職ができるようになった理由も明記しておくことで、入社後も問題無く働けることをアピールできるでしょう。

資格取得のために勉強をしていた場合

離職期間中に勉強して資格取得をした場合の職歴の記入例
離職期間中に資格取得を目指し勉強していた場合の職歴の記入例

離職期間中に資格取得などを目指して勉強していた場合には、その旨を記載することで、仕事に就いていなくとも前向きに自己研磨をしていたと好印象を与えることができるでしょう。

最終的に資格の取得には至らなかった場合でも、勉強していたということを伝えることでその努力をアピールできます。

職歴が多すぎて書ききれない場合の対処法

職務経歴書は基本的には1〜2枚、書きたい職歴が多い場合には3枚にまとめるのが一般的です。

職歴が多過ぎて3枚以内では書ききれないという場合でも、一部の職歴を省くということはNGです。

職歴に穴が空いてしまい、その期間には何もしていなかったのかと採用担当者にあらぬ疑惑を持たれてしまいかねないからです。

そのため、職歴が多い場合には3枚までに収める工夫をする必要があります。

関連が深い職種・職歴のみ具体的に書く

応募企業に関連が深い職種・職歴のみ具体的に書く場合の記入例

職歴が多い場合には、応募先の職種と関連が薄い職歴は短くまとめ、関連が深い、または強くアピールしたい職歴のみ、より詳細に記載するのがおすすめです。

職務内容や実績、受賞歴は主だったものだけをピックアップして記載したり、それぞれの項目をより簡潔に書くことで、一つの職歴を短くまとめることができます。

職務経歴欄では一つの職歴を丸ごと省いてしまうのはNGですが、それぞれの職歴の内容を省略することは問題はありません。

職種ごとに職歴を整理してまとめる

職種ごとに職歴をまとめて書く場合の記入例

職歴を時系列順に一つ一つ書いていく一般的な職務経歴欄の書き方は「編年体式」と呼ばれています。

職歴が多い場合には、この編年体式ではなく「キャリア式」を採用することもおすすめです。

キャリア式は職歴を企業ごとではなく、職種ごとに整理して書いていく方式です。

この方式では、応募先の企業に近い職種、特にアピールしたい職種の職歴を一箇所にまとめ、他の職種より詳細に書くことで目立たせることができます。

つまり、先述の応募先に関連の薄い職歴は短くまとめ、関連が深い職歴は詳細に書くという方法が編年体式よりもプラスに働きやすくなります。

また企業ごとではなく、職種ごとにまとめて書くため、転職回数が目立ちにくくなります。

そのため、キャリア式は「すぐに会社をやめる人間だと思われないか」など、転職回数の多さが選考に不利に働くことを懸念している人にもおすすめです。

職歴が全く無いのに職務経歴書を求められた場合

職歴が全く無いにもかかわらず、応募先から職務経歴書の提出を求められた場合には、職歴欄に「職歴なし」と正直に書きましょう。

そして、職務経歴書の自己PR欄でフォローをするようにしっかりと自己のスキルや意欲をアピールしましょう。

もしも応募先の職種に強く関連したアルバイト・パートの経歴がある場合には、職務経歴欄にその経歴を詳細に書いても良いでしょう。

応募先の職種への適正を示せる可能性があります。

らくだ先生
職務経歴書の「職務経歴欄」の書き方ポイント
  • 職務経歴欄では職歴を具体的に書き、実績やスキルをアピールしよう!
  • 職務経歴欄は簡潔にまとめよう。書ききれないからといって一部を省略したり、空白期間を作るのはNG!

  • 職務経歴欄を書くときは、読みやすさを意識してまとめよう!

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